彩木が熱く感じにくい理由 他素材と比較して解説

彩木が熱く感じにくい理由 他素材と比較して解説

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同じ表面温度でも熱さを感じにくいのはなぜ?

という疑問を、熱伝導率・蓄熱量・熱容量・熱拡散率などを用いて解説します。

 

1.熱さを感じるメカニズム

指先で触った時に熱さを感じるメカニズムは、その物体の蓄熱量と熱拡散率と、指先の熱容量によりきまります。

ウレタンは熱伝導率が低いため(アルミの1/3900)蓄熱しにくく、触った際の熱拡散率も低いため移動する熱量が少なく、素肌で触れても熱さや冷たさを感じにくいのです。

 

2.蓄熱量のシミュレーション

では、外気温30℃で、太陽光により表面温度が60℃まであがった場合の蓄熱量を

彩木・木樹脂(PE+木紛50%)・アルミで比較してみましょう。

彩木は熱伝導率が0.06W/m・Kと低く、密度も340kg/㎡なので蓄熱量が少ないです。

一方、木樹脂は熱伝導率が0.38W/m・Kで、密度も1200kg/㎡あるため蓄熱量は彩木の5.6倍になります。

アルミに関しては熱伝導率が210.00W/m・K、密度が2700kg/㎡もあるので蓄熱量は彩木の6.3倍になります。

この結果、表面温度が同じでも蓄熱量が異なり、
触った時に移動する熱容量が違うため、熱さの感じ方が異なるのです。

 

 

3.そもそも熱とは何か

あらゆる原子と分子は絶対零度以外その温度相当の不規則な運動をしています。そこで、熱運動の運動エネルギーを熱と呼ぶことにしたのです。

つまり、原子や分子が激しく運動をすればするほどその物体は熱を持っていると云えます。温度とは、『熱運動の大きさ(量)を測る物差しの一つ』です。

3-1.熱伝導率

熱伝導率は、熱の移動のしやすさを表す物性で、ものによって熱伝導率が違うことは感覚的に理解しているはずです。

例えば、金属は樹脂よりも熱伝導率が高く、樹脂の板に触れても特に何も感じませんが、金属の板に触れると指先がひんやりします。 指先から金属へ熱が移動したためです。

単位はW/m・Kです。分子がワット(W)、分母がメートル(m)×ケルビン(K)(温度差)です。

エネルギーの単位がジュール(J)で、1秒あたりのエネルギーの単位がW(=J/s)です。したがって、分子にあるWとは、単位時間あたりに移動する熱エネルギーの量を意味します。

分母のmは、物体の厚みです。Kは、物体の表と裏の温度差です。

  ※1J: 1N(ニュートン)の力で物体を1メートル動かすときの仕事量

  ※1J≒ 0.24 カロリー

  ※1cal(カロリー)は1グラムの水の温度を1℃上げるのに必要なエネルギー

まとめると、熱伝導率とは、単位厚さ当り、単位温度差当りの、熱エネルギーが移動する量だということが分かります。熱伝導率に物体の厚さと表裏の温度差をかけ算すれば、移動する熱エネルギーの量(W)が分かります。 熱伝導率は材料によって決まり、金属が高く、樹脂は低い値です。

金属の熱伝導率は数十〜数百W/m・Kもありますが、樹脂になると0.2W/m・K程度です。空気はさらに一桁低い0.02〜0.03W/m・Kくらいですが、流体ですので扱いが厄介です。

 

3-2.熱拡散率とは

熱伝導率に似た物性で、熱伝導率とは次の式で紐付けられています。

    熱伝導率[W/m・K]=熱拡散率[㎡/s]×比熱[J/K・kg]×密度[kg/㎥ ]

熱拡散率は熱伝導率を出すためのパラメータの扱いで、熱伝導率は直接測ることが難しいのですが、熱拡散率は測定が簡単です。

したがって、熱拡散率を実測したあとに、比熱、密度を掛け合わせて熱伝導率を求める方法が一般的で、熱拡散率を測定して熱伝導率に換算する方法を非定常法といいます。

液体が高濃度側から低濃度側に移動するのと同じで、分子の振動も低温側に移動します。の分子の振動が移動する速さを決める物性(係数)が熱拡散率と云うわけです。

熱伝導率は、「分子の振動」ではなく「エネルギー」の移動に関する物性です。したがって、「分子の振動」に、「分子を振動させるのに必要なエネルギー」をかけ算して「エネルギー」に換算する必要があります。

この、「分子を振動させるのに必要なエネルギー」が比熱です。ただし、比熱は単位重量あたりの物性なので、単位体積あたりのパラメータに変換するため、密度を別途かけ算して算出します。

まとめると、物体の表裏に温度差がある場合の熱エネルギーの伝わりやすさが熱伝導率、分子振動の伝わりやすさが熱拡散率、と云うことになります。

別な言い方をすれば、熱は分子振動の授受で伝わりますので、熱拡散率は毎秒どれ位の面積に拡散するか、または単位面積に伝わる速さとも云えます。

また、食品の解凍にも『熱拡散率』が重要であることも知られていませんが、上の説明を見ればなんとなくわかってもらえると思います。例えば、冷凍肉を解凍する場合、常温の解凍板から冷温の肉に熱(振動)が移動しますが、そのスピードが遅い(熱拡散率が低い)と解凍時間が長くなりますので、熱拡散率が高い方が解凍がうまくできます。熱拡散率が高いと周囲(空気)からも熱を効率的に拾うことができます。

但し、冷凍肉を常温に上げるエネルギーが必要ですから、解凍板にはそれに見合う熱容量(≒蓄熱量)が必要です。 熱容量は後で解説しますが、熱容量=質量×比熱ですので、質量と比熱が高い方が大きな熱容量を持つことになります。

 

3-3.熱伝達率とは

伝熱において、壁と空気、壁と水といった2種類の物資間での熱エネルギーの伝え易さを表す値で、単位面積、単位時間、単位温度差あたりの伝熱量のこと。

熱伝達率は、対流熱伝達、沸騰熱伝達、凝縮熱伝達など、流体と物体間の熱移動を扱うための係数です。

単位はW/㎡・Kです。物体や流体の接触界面の単位面積あたり、かつ単位温度差当りの熱エネルギーの移動量を示しています。これは難しい話ではなくて、「90℃のサウナに入るのは大丈夫だけれど、90℃のお湯には入れないのはなぜか?」を考えると合点がいきます。蒸気よりもお湯の方が熱伝達率が高かったと云うことです。

また、同じ90℃のサウナでも、うちわで扇がれると暑くなります。流体が強制的に対流され、熱伝達率が上がったからです。逆に、裸で寒空に放り出された場合も同じです。同じ0℃でも、氷水の中に浸かるよりは寒空の方がましです。 そして、同じ寒空でも、風が吹くと寒くなります。

体感温度というのは、実際の環境温度に熱伝達率の大小が加味された温度と云えます。

 

3-4.熱容量とは

 

4.35℃の日は暑いのに35℃の風呂は熱くないのはなぜ?

人の平均体温は35℃~36℃。なぜ同じ温度のお湯に入っているのにそう感じるのでしょうか?

①皮膚温度と体の深部温度の違い

人の体温は平均で35℃~36℃ですが、それは皮膚表面を測った際の温度です。人間の深部、(心臓や脳など)大切な臓器が詰まっている部分の温度は、おおよそ37℃~38℃と少し皮膚よりも高めです。

人間は恒温動物なので、外気の温度が変化しても、深部の温度は一定で変わりません。

お風呂の温度が35℃だとなぜぬるく感じるかは、この深部の温度を一定に保とうとするため、深部より低い温度のお風呂に入った時、奪われた分の熱を一生懸命作ろうとします。しかし、水は熱を奪う能力が高いので、体が熱を作ってもどんどん奪っていってしまいます。

これが、35℃のお風呂がぬるく・冷たく感じる原因です。

②水は空気の24倍

お風呂に入った時、すぐぬるく感じると思った方もいたでしょう。それについても理由があります。熱は必ず、高温側から低温側に移動します。 更に水は空気の24倍熱を伝えやすいので、あっという間に体の熱を奪います。だから35℃のお風呂に浸かると、すぐにぬるく感じるのです。

③お風呂はぬるいのになぜ気温35℃は暑く感じるのか

35℃の部屋に入ると、すぐに皮膚温は上がり始めまが、8分後くらいからは汗がどんどん

出てきて、皮膚温は下がり始め、34℃くらいまで下がります。

つまり、35℃の部屋へ入ったときは、35℃の風呂に入ったときより、皮膚温は低くなり、それにより深部温(37℃~38℃)との差が大きくなり、暑く感じるのです。

 

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